代田・ダイダラボッチ音頭振興委員会

小田急線・世田谷代田 駅前広場
―代田ダイダラボッチ広場開場!―
(一)ダイダラボッチ広場の開式が始まると雨が音を立てて降って来た。ダイダラボッチの仕業に違いない。そんな中で駅前広場開場記念事業実行委員会 委員長の斎田 孝さんが開式を宣言した。当初の計画では2020年春に広場のオープンを行う予定だった。が、コロナ禍によって一年開場は延長となった。そしてこの3月28日午前十一時に会は始まった。計画では、おめでたいことだからと賑々しく会を行う予定だった。地元三土代会の餅つきを行ったり、「代田ダイダラボッチ音頭」に合わせて代田小太鼓倶楽部が音頭を取り、踊りもする予定であった。が、コロナ禍で行事も縮小し関係者だけで行われた。それでも待ちに待ったオープンである。巨人が歓迎の雨を降らせた。
(二)
北沢川文化遺産保存の会は、駅前広場開場記念事業実行委員会に参画してサポートしてきた。これは主には具体物の作成だ。三点に及ぶ。
①地図の作成
「世田谷代田駅前ダイダラボッチ広場完成記念」としての「下北沢文士町文化地図」(改訂八版)の発行。これは世田谷区地域の絆推進事業の助成を受けて1万5000部を発行した。地域で行われる行事での配布を予定していたがやはりこれもコロナ禍の影響を受けて配ることができなかった。
地図の裏面は「代田のダイダラボッチ~民族学者柳田国男の探訪と発見~」としてダイダラボッチ特集を組んだ。
②代田ダイダラボッチ音頭の作成
作詩はきむらけん、作曲は 若桑比織としてこれも一年前に完成している。この曲は町角ピアノとして世田谷代田駅でも披露されYouTubeにもアップされている。
今回も『小田急線・世田谷代田駅』広場開場記念 としてCDが作成された。
歌い手はチンドン好井さん、当日配布されたこれはYouTubeにアップされている。
『代田ダイダラボッチ音頭』
③「巨人伝説読本 代田のダイダラボッチ」の作成
駅前広場開場記念事業実行委員会が発足した当初からこれは以来されていた。ただ広場の開式が延びたところから、これには着手せずにいた。が、昨年暮れになって広場完成の目途が立った。
「ダイダラボッチ読本の話はまだ生きていますか」
委員長の斎田さんに聞いたところ生きているとのことで大わらわでこれに取りかかった。脱稿が一月の末だった。今回開式に間に合わせようと編集委員会の手も借りて校正などを進め、そしてやっとこれが間に合った。昨日、参加者に配布された。
イラストは作道なるみさん、描かれたイラストはとても好評である。彼女にとってはイラストレーターとしてのデビュー作である。
(三)
式では出席者の挨拶が終わり、テープカットが行われた。待ちに待った開場である。が、雨は降り止まない。そんな中で斎田孝さんが私を紹介する。それで私は参加者の前に立った。
雨は依然として降っている。自身のスピーチだが、ためらった。雨の中で話を続けていいものやら、これは迷った。あらかた『巨人伝説読本 代田のダイダラボッチ』に書いてあることだ。
「雨がひどいので話はしません、皆さんのお手元に配れている冊子を読んでいただければ、よいと思います」
ところが自分の番になって雨が小やみとなった。やはりこれもダイダラボッチの仕業である。
〇「代田のダイダラボッチ」について、ぜひ知って戴きたいことを四点、お伝えします。
①まず、一点目です。
・代田のダイダラボッチは地域には重要なものであること。
なぜ重要かというと、歴史を物語るものだから、代田という地名の起源はこのダイダラボッチに由来する。
人が住み始めるときに名前を付けます。村の名前を何にするか?
「ダイダラボッチがあるから代田にしましょう」ということでできた。 問題はいつかということですが、これは分かりません。が、とんでもなく古いということです。
ダイダラボッチはいつ頃生まれたのだろうか。『世田谷の地名』には区域の沿革・地誌・地名の起源が詳しく記されている。「代田略年表」では村の起こりが記されている。
1590 天正18年 吉良家の家臣の斎田(2家)・清水・秋元・柳下・山田・大場の諸氏、この地に止まり、帰農して開墾を始めた。
これが村の始まりだ。この時すでにダイダラボッチが村にあった。名前にするほどであったから、ダイダラボッチの存在は非常に大きいものがあったと考えてよい。
(四)
ダイダラボッチ研究は大正期に盛んになった。国家の開発、都市開発が進んできたからである。学問分野の研究も急速に進展した。都市が開発されるにつけ遺物や遺跡が多く発見されるようになった。この頃の考古学者は多くが「私はその足跡地に何度も行って石器や土器を採集した」(『武蔵野巨人民譚』谷川磐雄)と述べている。縄文や旧石器との結びつきを解いている。ダイダラボッチの始まりは、有史以前に遡るほどに古いものだ。
(写真上:テープカット 写真中:当日配布されたCD 写真下:ダイダラボッチの説明をする私 米澤邦頼さん、山本裕さん撮影)
きむらけん


